こどもの『自己感』の育ちとは

こんにちは、ジムパークの谷口です。

近年、こどものメンタルヘルスの問題が深刻化しており、発達支援においても重要な要素と考えています。

こどものメンタルヘルスを支える土台として、「自己感」が注目されています。

自己感とは

自己感とは、「自分が自分であり、存在していると感じる主体的な感覚」「自分が他者と区別される存在であるという感覚」のことをいいます。

自己感の構成要素

Gallagher(2000)のモデル

自己感を構成する3つの柱

自己所有感

1.身体(この手は自分の身体だ)

2.感情(〇〇が好きという気持ちは自分の感情だ)

3.思考(これは自分の考えだ)

運動主体感

1.制御している感(鉄棒を行っているのは自分だ)

2.引き起こした感(成功させたのは自分だ)

物語的自己

過去の経験の蓄積と未来への展望によって形成される、物語としての自己。

「運動主体感」が特に重要

自分自身の内発的な運動のみによって生じる、「この運動は自分で行っている」という感覚のことをいいます。

・これは他動的な動きでは生じない。能動的な行為に固有の感覚である。

・統合失調症における「作為体験」(操られている感覚)は、この運動主体感の障害によって起こるとされる。

運動主体感の発生機序

・運動イメージ実際の動きを伴わず動作を想像すること

・人の日常は予測の連続

運動主体感の喪失はなぜ起こるのか

(Blakemoreら)

脳は予測マシン

・運動主体感は、行動の「」に生まれるのではなく、行動の「」に脳が行う予測から生まれます。

・脳は、自ら起こす行動によってどのような感覚が生じるかを常に予測しています。この予測と、実際に生じた感覚との比較が、主体感の源泉です。

自分が「実行した」という感覚が得られない(違和感など)と記憶に残りにくい(物語的自己に影響する)といわれます。

自己感の脆弱性と5つの「困りごと」

1.感情コントロールが難しい

自分の気持ちがわからず、突然感情が爆発したように見える。

2.行動の見通しが立てにくい

自分の得意・不得意がわからず、無謀な挑戦や極端な回避をしてしまう。

3.対人関係でつまずきやすい

相手の反応を誤解したり、自分の言動の影響がわからなかったりする。

4.自信を失いやすい

失敗を「自分のせい」と思い込み、成功を「たまたま」と感じてしまう。

5.学習や生活スキルの習得が遅れる

自分の理解度や疲れに気づけず、学習が続かない。

発達障害があると「自己感」が育ちにくい

自己感は、生まれつき備わっているものではなく、経験を通じて少しずつ育っていくものです。発達障害の特性は、そのプロセスに影響を与えることがあります。

ASDの症状と感覚運動の問題

ASDの診断基準は、主に社会的コミュニケーションの困難さと、限定的・反復的な行動に焦点を当てています。しかし、その根底には、重要でありながら見過ごされがちな問題が存在します。

※発達障害と運動協調の関係については、【発達性協調運動障害と早期療育】より

ジムパークにおける自己感を育むための実践事例

単にスキルを習得することではなく、「運動主体感」を育むことを目的としています。

運動の予測能力を高める→的あて等、結果が予測しやすい遊び→身体コントロールの向上

感覚フィードバックの気づきを促す→模倣遊び等、支援者の動きに合わせる活動→自己肯定感の向上

成功体験を通じて主体感を強化する→ボルダリング等、予測と結果が明確な活動→不安感の軽減

運動イメージの強化→自分が行った動きを視覚的に確認する→運動順序のイメージ化

予測と結果が一致する成功体験(予測誤差の最小化)の強化

日常で行える「自己感」を育むための手立て

気持ちや体調を「見える化」する

感情カード等のツールを使い、本人が自分の気持ちに気づき、言葉にする手伝いをする。

行動や予定の見直しを共有する

「これから何が起きるか」を事前に伝えることで、本人が状況を把握し、心の準備をする時間を確保する。

成功体験を「事実」として言語化する

「すごいね」だけではなく、「○○に集中することができたから、出来上がったね。」とプロセスと結果を具体的に結びつけて伝える。

本人のペースを「正解」として尊重する

行動が遅くても、周りと違っても、それが「本人のペース」であると肯定的に受け止める。安心感が自己理解の土台となる。

おわりに

今回は、「自己感」についてまとめていきました。幼児期において「こころ」「ことば」「からだ」を並行して考えていく必要があり、その土台として【自己感の育ち】があります。

また、こどもたちが直面する「生きづらさ」の根底には、自己感の脆弱性が存在します。支援者は、彼らが「自分は、自分の人生の主人公である」という感覚を取り戻し、育んでいく必要があります。

引き続き「こどもの未来を支える」ための視点を持って、療育実践していきたいと思います。

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